同じ見積、同じ材料を使っても業者によりリフォームの出来上がりが変わる理由とは?
見積書、仕様、図面、材料、職人が同じでも出来上がりが違うということは、一般の方々にあまり知られていない事実です。
理由としては
- リフォームには検査がない
- リフォームは詳細図面が無い場合が多い
- 職人は予期せぬことが見つかっても期間内に仕上げなければならない
- 職人は予期せぬことが見つかっても予算が決まっている
- 職人は予期せぬことが見つかってもトラブルにならないようにのみ注力する
- 職人は今まで通りの施工方法を使う
すべてではないですが、これらが主な理由になります。
検査がない
新築は図面と使われる材料等が法的に合致するか、第三者機関に検査されます。
工事も基礎、骨組み、雨漏れがしないかなどが検査がされます。
増築や耐震補強の補助金をもらうリフォーム、大規模なリフォームの場合は、一部に検査はあるものの、すべてに検査や書類審査があるわけではないです。
検査がないということは、法的に合致しているか、雨漏れがしない工事か、耐久性は問題ないか、耐震上大丈夫かを、誰かが判断しなければならないのです。
これらをすべて職人が知っていて任せていれば大丈夫と言う場合もあれば、そうでない場合もあります。
知識のたくさんある職人もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。また、職人も人間です。検査が無ければ楽な方に行く人もいれば、きっちりする人もいます。
だから、どんな職人が来てもいいものが出来上がるようにするには、誰かか監督し指示をしなければなりません。それがリフォームの現場監督です。
SNSなどの口コミの評価が割れている業者があるのは、現場監督の良し悪しがあるので、このようになるのではないでしょうか?
リフォームは詳細図面が無い場合が多い
新築の場合、設計図通りに大工が作っていけば、ほぼ検査は合格し同じようなものが出来上がります。
ただ細かい部分のちょっとした仕上げ方は通常図面には掲載していません。
それを詳細図面という形で巾木、廻り縁、出っ張った部屋の壁の角、敷居の部分、窓枠の仕上げ方などの仕様や図面を造って決めておくと、大工が図面だけでほぼ同じものを造り上げます。
しかし、リフォームは解体して初めてわかること、年数がたっていて通常は直角である箇所がそうでなくなり通常は同じ高さであるはずがそうでないという部分が必ず出てきます。
単純に詳細図面を作っていても、どう仕上げるか判断しなければならない場面も必ず出てきます。
仕事が楽にできる方法でいいか、お金がかかってもより良い仕上げにするのかを判断しなければなりません。これを職人任せにすると、お客様の希望するものとは違ったものになってしまうことがあります。
したがって、お客様と打ち合わせで話をした人が判断した方が、お客様の希望に出来るだけ近づけることができます。
それがリフォームの現場監督の仕事です。
職人は予期せぬことが見つかっても期間内に仕上げなければならない、予算が決まっている
前述いたしました通り、リフォームは改造なので予期せぬことが見つかることが多々あります。
- 床下の柱や土台などの骨組みが腐っている
- 白アリに喰われている
- 過去の雨漏れで腐食している
- 柱がまっすぐ立っていない
- 断熱材が入っていない箇所がある
- 耐震上問題がある構造である
- 配管が古い
- 下地のベニヤ板が膨れてボロボロ
上げればきりがないぐらい、リフォームではこのようなことが起こります。
その他、現場調査と見積もりするのは人間なので、交換した方がいいのに見落として作業項目の中に入っていない部材も見つかることもあります。
初めから予算組されていた作業なのかどうか、予算組されてなくても交換するのか?
見積りしていない場合、お客様はどうしてほしいのか毎回聞いていたら作業が進まないし、決定権を持つご家族さんが不在の場合もあるので、そうなると作業をストップしなければなりません。
これらを判断するのが現場監督の仕事です。
お客様はできるだけお金を抑えたのか、多少追加になっても直してほしいのか?これは絶対お客さまに確認した方が良いです。
とりあえず他のところを進めて、お客様がいるとき確認した方がいいのか?
追加作業を行ったら、次の水道工事に間に合わないがどうすればいいのか?
追加作業費用はどう組み込むのか、ある程度の不良個所の予測をして予算組していたのか?
これらのことを全て職人が判断するのは到底難しいし、本来の職人の仕事でもないです。
予算組をしている監督、工事予定をしている監督、お客様とお話をしている監督、この人が判断する場面がリフォームには毎日のように発生します。
職人は今まで通りの施工方法を使う
職人は親方から現場仕事のノウハウを学び、一人前になって一人立ちします。
大工工事の技法やテクニックは不変のものがあると言えます。
一方、建築の法律や常識は日進月歩変わっていきます。
例えば、耐震補強方法なども昭和の時代と現在とでは異なります。
建物の断熱の方法も近頃はどんどん変わってきています。
これらの事は設計士や建築施工管理技士(現場監督)から聞いて、職人は初めて知ることになります。
しかし、前述のリフォームには検査がないので、職人にすべて任せてしまうと、昔ながらの方法や常識で仕上げてしまいます。
一般人であるお客様で、それが古いやり方が新しいやり方が判断できる人はごくわずかだと思います。
こうならないようにするには、
- 設計図面を作る
- 工事仕様書をつくる
- 監督や設計士が現場指導する
- きっちりできているか確認する
上記のことが必要です。
古いやり方がたちまちトラブルになるかと言えば、トラブルになりません。
しかし、一生に何度もすることではないリフォームを同じような金額で行うなら最先端の方法を知ったうえでどうリフォームするか考えた方がいいと思います。
そうすることで、より快適な生活を安心して送ることができると思います。
現場監督に思いを伝えましょう
このように、誰が責任をもって現場の指揮をするかによって、見積もり内容や金額も同じ、使う材料も同じであっても、出来上がりを遠目に見た仕上がりはあまり変わらないかもしれませんが、よく見ると、詳細の仕上がりや床下・天井裏・壁中などが、同じような現場でも異なってきます。
言い換えると、建物の性能(断熱や耐震)や耐久性に大きな差が出ます。
これらの事から、リフォームは予算と現場を管理する現場監督が重要だということが分かります。
- 現場監督は誰が行うかを聞く
- 現場監督にも打ち合わせに立ち会ってもらい、最終確認と思いを伝える
- 現場監督がいない会社、監督が打ち合わせに来ない会社は避ける
- 見積りや図面、仕様書をじっくり見て、不明点は質問し、明確な回答が返ってくるか、すぐに返ってこなくても調べて返してくれるかでその会社の知識レベル、取り組みを見極める
これがリフォームをする際に押さえておきたいポイントです。
このようにルールが少ないリフォームは、現場監督が重要なポジションにあることを理解して業者選びを行うと、より良い質のリフォームが出来ます。
お客様の思いを出来るだけ監督に伝えて、満足度の高いリフォームをしましょう。