長年住むためのリフォーム・間取り変更・耐震断熱リフォームはどこに頼む?失敗しない依頼先の選び方

リフォームは「検査がない」という現実
今回は「間取り変更・耐震・断熱リフォーム」など、”デザインや見た目”ではなく、住宅の性能を左右するリフォームが多少なりともある場合、どんな会社に依頼すべきかというお話しをします。
まず知っていただきたいのは、新築工事と違い、リフォームは法的な縛りを受ける検査を行わなくても行えるということです。
建築確認や設計士によるチェックが入らないため、性能を左右する工事の良し悪しは工事業者の判断に委ねられるということになります。
通常のリフォームは、要望と違ったり、曲がった取り付けや傷がついている所を、お客様が見つければ直してもらえればいいだけのことです。
しかし、間取り変更により、耐震強度の低下はないか?耐震補強工事は適切か?断熱工事で壁内が結露しない処置はしているか?といった工事は、工事の途中で見ても判断は難しいです。
ましてや、完成してからでは全くわかりません。
壁の中や床下に隠れてしまう部分が多いため、工事後に第三者にみてもらっても、正しく施工されているか判断できません。
問題が露呈してからでないとわからないということになります。
リフォーム工事ではお客様が「検査官」のような立場に置かれてしまうということです。
専門知識を持たない方にとって、これは大きな負担であり、不安を抱える原因になりやすいでしょう。
最近ではお断りしているのですが、長いおつきあいのお客様から、「知り合いがリフォームしたのですが、きっちり工事をしているかみてもらえませんか?」というご依頼が来ることが少なくないからです。
性能向上リフォームに限ったことではないですが、検査がない現実を認識してもらい、新築よりもリフォームは業者選びが重要であることを知っていただきたく思い投稿いたしました。
実際は、水回りが得意な業者、間取り変更などの構造変更を得意とする業者があり得手不得手がある
リフォームと聞くと、まず思い浮かぶのはキッチンやお風呂、トイレといった水回りではないでしょうか?
実際に、多くのリフォーム会社や大型家電量販店が力を入れているのも、この分野です。
需要が多く、見た目や使い勝手の変化がわかりやすいので人気があります。業者としても短期間で工事が完了しやすく、機器とセットのリフォームなので売り上げが上がりやすい。
水回り中心の会社は、たくさんのたくさんのメーカーや種類を扱っており、知識も豊富であります。
半面、「間取り変更」「耐震補強」「断熱リフォーム」といった大掛かりな知識は不要なので、こちらの方は経験値が少ないと思われます。
営業担当者の多くは水回りリフォームに詳しくても、耐震の計算や断熱性能の数値評価といった専門知識までは持ち合わせていない場合が多いので、設計士や専門業者に任されることになります。
一方、増改築、間取り変更、大規模な改修、耐震補強、断熱性能アップなどのリフォームを行っている業者は、構造のことを理解している業者は多いです。
ただ、耐震、断熱の技術や知識は、なくてもリフォームをすることはできるので、耐震、断熱について知らない業者もあるので注意が必要です。
半面、水回りに関しては、水回り中心の業者よりも知識は少ないので、2,3メーカーからおすすめの機器を紹介しています。
水回りについてこだわりがある場合は、ショールームなどへ足を運んでもらって決めてもらっているようです。
このように、得手不得手があるので、構造にかかわるリフォームを行う場合、構造のことを理解している担当者とお客様が直接お話すると、構造に無理がかかるご要望を簡単に請け負うことが少なくなります。
簡単に受けてしまうと、いざ工事が始まって、後でできないことがわかり、プラン変更が発生したり、請け負ってしまったので、強度に無理がかかっても、検査がないのでそのまま仕上げてしまうこともあるようです。
真面目な会社は、構造に関することは宿題にして、持ち帰り設計や職人と相談してから答えを出したり、調べてから回答します。

私の要望が正しく伝っていない!?
リフォームの現場では、「言ったはずの要望が反映されていない」という行き違いが起こることがあります。なぜこうしたことが生じるのでしょうか。
その一因は、要望が業者によっては「お客様 → 営業担当 → 設計士 →工務店営業 → 現場監督 → 職人」というような長い流れで伝わっていく場合があることが一つの要因といえます。
リフォームは性格上現在の改造なので、図面や、パースでは伝えきれないことも多々あり、伝言ゲームでもあるように、途中で少しでもニュアンスが変わったり、担当者の理解が不十分だったりすると、最終的に職人に伝わる時点では本来の意図とずれてしまうことがあるのです。
水回り機器や、仕上げの材料や、ドアのデザインなどは、仕上がってみて間違っていたらわかりますが、前述の通り、既存部分の補修補強、耐久性を上げるための作業、耐震補強、断熱といった工事は壁や床の中に隠れてしまう部分が多いため、完成後の仕上がりだけでは正しく施工されたかどうか確認できません。
たとえば、断熱材は性能が違うものがたくさんあります。断熱を強化すると壁内で結露対策を行う必要もあります。耐震補強金物もかなりの種類があり、耐震工事は検査がなければ、ルール通りに補強されているかなど、これらの工事は壁がふさがる前でもわからないことです。
私がなぜ、記事にしてまで書くかというと、リフォームは昔の法規制のルールで建てられた建物の改造なので、通常ではない状態が往々にしてあります。
実際私が行っている現場でも、職人が図面を見ながら行っているにも関わらず、耐震金物の取付け忘れや種類間違い、断熱材の不備は起こっており、指摘して直してもらっているからです。
職人の性格でしょうかね?通常と異なる部分が見つかった時、私に先に聞いてから施工する職人、施工してから「これでいい?」と聞く人、「間違っていたら後で指摘が来るだろう」と自分の考えで施工する人など様々です。
このように、耐震補強、断熱などは建物を耐震等級2にする、断熱等級5にするという明確な目標があり、ある程度図面に示される場面でもこのようなことが起こり、その他の壁内・天井内・床下の作業に関しては、細かい指示は特にありませんので、通常と異なる状態にあった時に、工事の期限と予算がある中、どうすればいいのか?お客様はどうしてほしいのか?の判断が必要になってくるのです。
工事を中断してお仕事中のお客様に電話して毎回判断を仰ぐことはできないので、お客様の意図や希望がわかっている担当者が必要になってくるのです。
また、断熱材の入れ方や、壁内結露防止対策を怠っている場所を発見することがあります。
職人とは別の構造、断熱に精通した人間、すなわち新築と同じように、監督や設計士がこれをチェックする仕組みある会社でないとダメということです。
構造や断熱は間違っていても完成してしまうので、チェックしないと失敗や間違いが少なからず起っているということです。
つまり、構造や断熱性にかかわってくる、床、壁、天井を一旦解体するリフォームは、表面上の仕上がりだけで良し悪しを判断できないので、経験値の多い会社の方が間違いが少なく、お客様との打ち合わせに現場監督が立ち会うことが大切だということです。
リフォーム、リノベーションでは現場をチェックする担当者が営業担当、または、要所要所でお客様との打ち合わせで、営業担当が設計士や現場監督を連れてきてお話をするなど、要望を確実に反映させるには、図面には表れないことや、お客様が切望していることなどを、できるだけ現場に近い人に伝える仕組みが必要だと私は思います。

信頼できる依頼先を選ぶための具体的なポイント
ここまででお伝えしたように、間取り変更や耐震、断熱といったリフォームは、仕上がりだけでは良し悪しを判断できません。
だからこそ、依頼先選びが最も重要なポイントになります。では、どう見極めればよいのでしょうか。
1. 実績の多い会社を選ぶ
まずは、その会社が過去にどんな工事を手がけてきたか確認することです。
耐震や断熱のような数値が関わる工事に関して、具体的な事例や経験を持っている会社は安心感が違います。
間取り変更を多くやっていても、実際の数値を見ながら建物の性能強化や保持を意識しているからです。
ほとんどが水回り工事、ほとんどが外壁塗装工事、単なる間取り変更、ばっかりやっている会社よりも、耐震や断熱工事の絶対数は少ないので、このような工事の実績がより多いとベターということです。
2. 営業担当に質問してみる
打ち合わせの段階で「耐震補強はどのように計算していますか?」や「断熱性能をどのように確認していますか?」といった具体的な質問をしてみましょう。
納得のいく答えが返ってくるかどうかが、その会社の姿勢や知識の深さを知る目安になります。そのような工事を日常的に行っている会社は、できれば耐震や断熱リフォームを行う方がお住まいにとっていいことは承知しております。
あいまいな答えしか返ってこない会社は、お住まいの性能アップは特に意識していないと思われます。
3. 設計事務所に依頼するという選択
リフォームを専門に手がける設計事務所に直接依頼する方法もあります。
設計と施工を分けることで、図面や計算に基づいた確かなプランをもとに工事を進められるのがメリットです。
探すのは少し手間かもしれませんが、安心感は大きいでしょう。
実際、依頼先の体制や考え方で仕上がりの質が大きく変わります。
会社の規模よりも、「専門的なことに正面から取り組んでいるかどうか」を見極めることが、失敗しないための大切な視点だと私は思います。
ただ、工務店に丸投げしてしまう設計事務所もあるので注意が必要です。検査がある新築と異なり、図面を書いてあとは工務店任せでは良いものは出来上がりません。
”設計事務所の現場管理費用”はかかりますが、お客様とお話しした設計士さんが現場管理をしてくださると非常に安心だと思います。
補助金や検査を活用する方法
間取り変更や耐震・断熱リフォームを検討するとき、費用や信頼性の面で不安を抱える方は多いと思います。
そうしたときに活用できるのが「補助金」や「検査制度」です。
うまく利用すれば、安心につながるだけでなく、費用負担の軽減にも役立つだけでなく、検査があるので安心感も増します。
耐震補助金を利用する
市町村が実施している耐震補助金制度を利用すると、工事前に自治体の検査が入ります。
専門の目でチェックしてもらえるので、施工の妥当性や計算の正確さを確認できるのが大きな安心材料です。
さらに、余分にかかる設計費用や検査費用も補助金でまかなえることが多く、経済的なメリットもあります。
断熱工事の検査を行う
断熱性能については、気密測定など数値で確認できる検査があります。
実費にはなりますが、工事の精度を客観的に確認できるため、完成後の安心感が違います。
「本当に断熱効果があるのだろうか?」という不安を解消する方法の一つです。
実績のある会社でないと補助金は難しい
補助金制度は、実績のある会社でなければ申請や手続きが難しいケースがあります。
そのため、制度に詳しく、申請経験が豊富な会社を選ぶことも大切です。
こうした補助金や検査を上手に活用することで、工事の透明性が高まり、依頼する側の不安を減らすことができます。
安心と経済性を両立させる一つの手段として、ぜひ検討してみてください。

後悔しないために大切な心構え
リフォームを検討する際に忘れてはいけないのは、「依頼する側の心構え」です。
どんなに優れた会社や職人でも、すべてを任せきりにしてしまうと、思い通りの仕上がりにならないことがあります。
まず意識したいのは、「水回り中心の手軽な工事」と「住まいの骨格に関わる工事」の違いです。
水回りリフォームは見た目の変化が分かりやすく、比較的短期間で済むため安心感があります。
一方で、間取り変更やお住まいに長く使いたい住みたいので長持ちするためのリフォーム、耐震補強、断熱性能の向上といった工事は、目に見えない部分が多く、後から修正するのが難しい工事です。
だからこそ、依頼する会社が本当に真剣に取り組んでいるかを確かめる必要があります。
また、打ち合わせの段階で気になる点や疑問があれば、その場で必ず質問しましょう。
「聞きにくいから」「専門的で分からないから」と遠慮してしまうと、後々の後悔につながりかねません。
納得できるまで確認する姿勢が、安心につながります。
最後に大切なのは、会社の規模や知名度よりも「住まいづくりに誠実に向き合っているかどうか」です。
誠実に取り組んでいる会社であれば、工事中の確認方法や、完成後の性能の裏付けについても丁寧に説明してくれるはずです。
後悔のないリフォームを実現するためには、
- 任せきりにしない
- 疑問を残さない
- 誠実な姿勢を見極める
この3つを心に留めていただければと思います。
心から納得できるリフォームを選ぶために
間取り変更や耐震、断熱といった工事は、住まいの安心に直結する大切なリフォームです。
ところが、新築のような検査体制が整っていないため、依頼先選びや工事の確認をお客様自身が意識しなければなりません。
実績のある会社を選び、補助金や検査を活用しながら、疑問は納得できるまで質問する。
この積み重ねが、工事の質を守り、安心できる住まいにつながります。
大切なのは「任せきりにしない」ことです。
真剣に住まいと向き合ってくれる会社と一緒に、これからの暮らしを支えるリフォームを実現していただきたいと思います。













