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大規模リフォームで後悔か、大成功か?違いは中身!住まいの根幹リフォームとは? | 大阪府堺市で住まいのリフォーム・耐震リフォーム|株式会社SAMです。

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大規模リフォームで後悔か、大成功か?違いは中身!住まいの根幹リフォームとは?

目次

1. 大規模リフォームで見落とされがちな住まいの要とは

大規模リフォームを考えるきっかけとして、家族構成の変化や老朽化した内外装や設備の刷新、間取りや収納のリフォームなどの使い勝手の改善など暮らしやすさを求める動機そのものは、ごく自然なものです。

ただ、こうした計画が「表面的な改善」「私の現在のなやみ」だけで進んでしまうと、住まいの寿命や安心、健康に関わる大切な部分を見逃してしまうことがあります。

長く住んできた家ほど、内部の構造材や配管、断熱材など、普段は確認できない場所に経年の変化が積み重なっていることや、新旧お住まいの住宅性能の進歩と違いが多いためです。

大規模リフォームは、床や壁を剥がす工程が含まれることが多く、この状態は、住まいの状態を一度に把握できる数少ない機会でもあります。

内部が露わになることで、劣化の進み具合や湿気のまわり方、配管の古さ、断熱材の劣化などが目で見て確認できます。

これらは、リフォーム後のタイミングでは調査が難しく、工事が終わった後に不具合が見つかると再び壊す必要が生じ、費用も時間も重ねてかかってしまいます。

特に相見積もりになると、安く見せるために見積書はどうしても目に見える部分の項目が中心になり、昔の法基準の耐震強度や住まいの省エネ力を左右する断熱性能、配管・電気配線の更新といった住まいの要となる部分は後回しになりがちです。

そして、この見えない部分は、工事業者側から積極的に説明されない場合もあります。

手間がかかるうえ、利益に直結しにくい部分でもあり、業者の知識不足の場合もあるため、触れられないまま計画が進んでしまうケースも少なくありません。

その結果、見た目は新築のようにきれいになったのに、肝心の住まいの土台には手が届かず、後でまた修繕が必要になたり、中身は昭和の性能という状況が生まれてしまいます。

大規模リフォームの成功は、「見える部分」と「見えない部分」を同時に考えられるかどうかにあります。

見た目を整えることと同じくらい、住まいの内部が健全な状態かどうかを確認しておくことで、美しくなった完成の喜びにプラスして、これから先の安心と将来の出費抑制につながっていきます。

2. 見えない部分を後回しにした結果・・・

工事前の点検が十分に行われず、リフォーム計画に盛り込まれていないと、湿気で土台や柱など木部の傷みが始まっていても、そのまま仕上げてしまうケースがあります。

耐震強度は、無設計で壁を抜いてしまったりはもちろんのこと、一部分だけ壁を強くしてしまうと、家全体のバランスが崩れ、かえって揺れに弱くなる場合があります。

断熱については、後で部分的に断熱工事を行っても、断熱していない隙間から熱やエアコンの冷気は奪われます。

また、窓は住まいの断熱性能の夏は約70%以上冬は約50%以上もの影響を受けるため、窓の断熱性能を考えた選択は非常に重要です。

床リフォームは、床組の老朽化や、木製の床束が痩せてきしみが出ている状態は、フローリングのみを新しくしても解決しません。

旧タイプの配管が残っている家では、リフォーム後に漏水が起きて床下の漏水修理やみっともない露出配管に交換して復旧になるのはよくある事です。

床下の湿気が強い環境では、カビやシロアリ被害のリスクも高まります。

そして意外に多いのが、後々のメンテナンス性を考えずにリフォームしてしまったお住まいです。

床下や天井裏に入るための点検口がなかったり、あったとしても、行き止まりで床下全体、天井裏全体へのアクセスできない場合、雨漏れ水漏れ床鳴りなどその他のトラブル時にすぐに原因がわからず、対処が遅くなるったり、できないことがあります。

これらの問題に共通しているのは、どれも工事が終わると見えなくなる部分あなたが現在不自由だと感じていない部分だということです。

したがって、せっかくリフォームしたお住まいなので、自分のお住まいの性能って現在の新築に比べて劣っていることを後で知ったり、に点検口をつくるか床壁天井を解体しなければ解決できなかったり、露出配管や配線のように見た目が悪くなったり、解決には大掛かりになるためあきらめてしまうことになります。

このように、住宅の根幹の性能部分を見落としたまま進めてしまうと、きれいになった住まいの裏側で別の問題が育ってしまい、それが数年後に問題発生したり、見た目は新築のようなのに住宅性能は40年以上前のものである事に気づいて、後悔することになります。

壁面の断熱材
壁の断熱材の様子

3. 大規模工事のときに必ず検討したい9つのポイント

実際の現場で「大規模工事のタイミングと相性が良い」代表的な見直し項目を整理します。

①計画と予算の組み立て方

大規模リフォームでは、どの部分を優先して整えるかを判断するために、まず住まいの状態、構造・断熱・配管・床下環境などを「事前点検」で正しく把握することが最も大切です。

新築時の設計図、リフォーム履歴と、工事前に行う現況調査が計画づくりの土台になります。

調査では、耐震性能、断熱性能、配管の劣化、配線の新しさ、床下の湿気状況、雨漏り、外壁、防水、屋根、基礎、床壁天井の状態、窓や設備の状態など、普段の生活では分かりにくい項目を中心に確認します。

現在の状態が詳しく分かるだけで、工事内容の優先順位を間違えにくくなり、工事の計画がまとめやすくなります。

また、限られた予算の中で、「今回しっかり整えておくと将来の負担が減る部分」と、「次の機会でも問題がない部分」を区別しやすくなります。

一度に全体をちょこちょこリフォームするのではなく、エリアを区切り、「今回はリビングとキッチン」「次回は寝室と浴室」を完ぺきにといった計画を立て、区画内は完全に工事する方法です。そして、2階部分は次回にまわすなど、段階的に計画していく方法もあります。

その際には、ご家族がどの部分を特に気にされているか、今後の暮らしでどこを優先したいかを踏まえて、無理のない判断ができるように組み立てます。

予算と見積もりを確認しながら、手を入れるべき箇所と、現状維持で問題ない箇所を丁寧に見極めることで、暮らしに合ったリフォーム計画がつくりやすくなります。

②腐朽対策:原因特定から再発防止まで

建築されてから30年以上経過する建物では、現場調査の段階で、床下や天井裏を確認すると、目視で木部の腐朽が見つかることがあります。

また、外壁が膨れていたり、内部の壁の釘の錆、カビ、床がふわふわで柔らかいなどの腐朽の可能性が考えられる箇所が見つかることも少なくありません。

木部の腐朽が見つかった場合は、単に傷んだ部分を交換するだけでは不十分です。

大切なのは、「傷んだ部分を直すこと」ではなく、なぜその場所が腐ったのかを確かめることです。

原因が残ったままだと再発のリスクが残ります。

腐朽の背景には、雨水の侵入、水漏れ、床下の湿気、結露など、さまざまな要因があります。

現地では外壁・屋根・床下・建物外周など、複数の場所を総合的に確認して原因を探ります。

必要に応じて、柱や土台の含水率の測定や湿度の確認を行い、水分がどのようにまわっているかを把握します。

こうした調査の結果、対策が部分補修で十分なケースと、大規模な改修が必要なケースに分かれます。

雨水の侵入が明確であれば、原因箇所だけを直しても、外壁や屋根や防水層の場合、他の部分が同じように老朽化している場合が多く、再発の可能性が残ります。

反対に、屋根瓦が新しかったり、ベランダ防水して間もないなどで、局所的なトラブルが原因なら、部分補修でしばらく様子を見る判断もあります。

どちらを選択するかの判断は、

「部分補修でどの程度もつのか」
「同じような症状が他の場所にも可能性はあるのか」
「部分補修と不良部位全面改修の金額」
「今回部位全体改修をやめ、次回にその部位だけ行った場合、費用差が出るのか」
「次回に延期した場合、今回リフォームする部分の解体をせずに行えるか?」
といった判断材料を明確にすることです。

大規模リフォームで内部が露わになっている状態は、こうした本質的な対策を行う絶好の機会ですので、建物の状態と予算、将来的リスクを判断材料として、対策を無理なく検討していくことが大切です。

③建物の耐震強度がないと1000万円かけたリフォームもゼロになる?!

耐震補強は、一部分だけを強くするのではなく、建物全体な強度バランスを整えることが大切です。

1階と2階の耐力壁をバランス良く配置して安定し揺れにくくし、耐力壁は揺れても崩壊しないような構造に造り上げます。

現在の新築は震度6強程度の地震で「一応倒壊しない」という耐震等級1の強度が法律で義務付けられています。この法律は2000年に改正施行されたものです。

なので、2000年以前に建てられた住宅は、この耐震基準が適用されていないため、耐震診断を行うと「倒壊する可能性がある」「倒壊する可能性が高い」という診断になるケースが多い。

また、2000年以降の住宅であっても、過去に間取り変更や窓の新設などを行っていたり、今回行う場合はバランスが崩れたり、耐力壁の量が足らない場合があるので、耐震診断をしておく方がいいと思います。

大規模リフォームでは床・壁・天井を解体することが多いので、耐震補強を行ううえで非常に効率のよいタイミングです。

耐震工事では、土台・柱・梁の結合部を適切な金物で補強し、構造用合板で一体化させ、耐力壁を数か所、建物全体にバランスよく造ります。

これらは、仕上げ材を剥がさなければ工事できないので、大規模工事の最中ならば同じ工程が含まれているため、補強作業にかかる手間を大きく抑えることができる=耐震工事費用が安くできるということになります。

耐震工事は、新築時の図面確認、現場調査、耐震診断、補強設計を行った上で耐震補強を行います。

ここをリフォームするから、この部分だけ補強して後は次回に工事というわけにはいきません。一部補強すると強度バランスが崩れ、揺れやすい建物になる場合もあります。

大規模リフォームという大きな機会は、耐震性を現在の基準である、正常な状態にできる貴重なタイミングです。

各地で発生している大地震で新しいお住まいは比較的残っているのは、新しいからではなく、2000年以降建築基準法の元建てられた建物で耐震強度が「耐震等級1 一応倒壊しない」を満たしているお住まいだからです。しかし、リフォームで1000万円以上かけて見た目は新築のようになっても、大地震が起これば、耐震強度は古いままので、古いお住まいと同様倒壊してゼロになってしまう可能性が高いといえます。

④断熱設計と窓性能:快適さと光熱費に直結する部分

断熱は「入っているかどうか」「入れるかどうか」だけではなく、入れる断熱材の性能と、湿気と気流対策と断熱計画を全体的に考えると費用対効果が高くなります。

そして、断熱性能を高めるためには、どの性能レベルまで持っていくかをはじめに決めておくことが大切です。

2025年4月日本で初めて、新築を立てるうえで、断熱性能の基準等級4が義務付けられました。しかし、先進諸国や隣の韓国では法律違反レベルの低レベルの断熱性能です。

したがって、2030年にはもう一段階断熱性の法基準が上げられ、2050年までに段階的にもっと上がっていく予定です。

これからリフォームしようという日本の住まいは、裸でカイロを体に張り付けているようなイメージなので、断熱性能の高いセータを着て、ウインドブレーカーを着るのがお住まいの断熱リフォームのイメージです。

床下に断熱材を設置したり、古い窓を新しい窓に替える工事は、どれも作業そのものや工事費は同じでも、選ぶ材料や仕様によって、住まいの省エネ性能が大きく変わります。

断熱設計ではまず、目指す断熱等級を決めます。

見積りにおいて、
「断熱材設置工事 100,000円」と
「断熱材設置工事 等級5相当 100,000円」
どちらが価値ある工事か一目瞭然です。

目標基準を決めずに話を進めるのは、その他の工事も含めて選択の判断がしにくくなります。

断熱の中でも特に影響が大きいのが「窓」です。

窓は床・壁・天井に比べ、家の中で最も熱の損失が大きい場所であるため、サッシの材質(アルミ・樹脂・複合)や、ガラスの種類(単板・複層・Low-Eなど)の選択によって、室温の保たれ方が驚くほど変わります。

床・壁・天井などの断熱材も、材質・厚み・密度、そして施工方法によって性能が変わり、目標の断熱等級と住まいの構造で決めます。

断熱工事は、ただ断熱材を入れるだけではありません。床下から壁、天井裏から壁への気流を止めなければ断熱効果が低減してしまいます。

また、高断熱になればなるほど壁内結露によるカビの発生リスクが高くなります。

したがって、大規模改修の断熱工事は気流止めと結露対策、この2つもセットで行います。

よく使用するリビングと寝室のみ等級5の断熱工事をするという、部分断熱の方法もあります。

同じ工事を行うなら、長い目で見て快適性と省エネ性の両方を得ることができる断熱等級を決めて計画することの大切さがご理解いただけるかと思います。

キッチンの窓を2重窓にして高断熱仕様へ
キッチンの窓を2重窓にして高断熱仕様へ

⑤メンテナンス性の設計:将来の修理がしやすい家へ

リフォーム後の点検や修繕を想定し、床下・天井などに適切な位置と箇所に点検口を設けると、住まいの管理とメンテナンスが格段にしやすくなります。

住まいを長く良い状態で保つためには、「問題が起きたときに手早く原因調査できるか」という備えも必要です。

点検や修繕のための床下や天井裏への点検口がない住宅では、わずかな水漏れや雨漏れ調査、床の不具合、シロアリ調査や被害でも、原因を確認するために解体を伴うことがあり、そのぶん費用や時間の負担が大きくなります。

床、天井など共用部分がある、ビルやマンションでは当然のように点検口が計画されているのは、対処を早くしなければ、他人の所有部分に影響を及ぼす可能性があるため。

和室を洋室にリフォームして畳下から床へ入れなくなり点検できなくなったお住まいを時々見かけますので注意が必要です。

シロアリ対策の防蟻工事では全ての床下に入ります。したがって、基礎で区切られている場合は、区画ごとに数か所床下点検口が必要です。

仕上げの美しさと同じくらい、こうした「点検できる住まいの設計」を大切に考えておくことが、住まいを健康に保つための確かな備えになります。

⑥床下は外気や湿気にさらされ意外と傷んでいる!古い床組に上張りリフォームをするか?現在の新工法で床組ごと刷新するか?

床のリフォームでは、既存のフローリングを下地として上に新しいフローリングを重ね張りする方法や、和室から洋室に変える際に畳の厚さ分だけかさ上げして張る工法など、比較的手軽に仕上がる方法がよく採用されます。

理由は費用を抑えられ、工事期間を短くして美しく仕上げるためです。

しかし、築年数が経った住まいでは、床の下にある床組の状態は、外気や湿気の影響を長年受けており、見た目では分からない劣化があります。

木材の乾燥による痩せや反り、釘の錆び、木部の腐朽、部分的な地盤沈下など、床の水平をレーザーで計測するとこれらの影響で傾いていることもあります。

畳のような柔らかい仕上げでは特に気づきにくく、フローリングに張り替えたら敷居に段差ができたり、仕方なく床材を傾けて貼ったり、歩くときしみ音が鳴なったりすることがあります。

古い住宅では、床を支える「束(つか)」が木製で、床組は「根太工法」が一般的です。

この昔の工法は湿気や乾燥の影響を受けやすく、木が痩せたり変形したり、床板も薄いため、床鳴りが起こりやすいのも弱点です。

床組を解体しないので、断熱材も性能が低い古いものをそのまま使用することになります。

上張り工法で実際に起こったトラブル例

実際に、他業者の床リフォーム後、「床がギシギシ鳴る」というご相談を受けて床下を確認したところ、床を支える木製束が倒れかけており、大引(おおびき)との間に隙間が生まれている状態というのを見たことがあります。

フローリングは新しくきれいに仕上がっていて、上から床をめくることは難しい状況でしたので、木の束にはクサビを入れて動かないように補強し、さらに鋼製束を追加して安定させる処置を行いました。

見た目は美しく仕上がっていても、床下に断熱材が入っていなかったり、床組が弱ったまま残っていましたので、せっかくのリフォームが十分ではなく、数年後に再び手を入れなければならないというケースでした。

鋼製束を追加する工事

1990年代ぐらい以降の新築では、湿気に強く、耐久性や調整性に優れた金属製の束の使用や、24mm厚の床板を使用する「剛床(ごうしょう)工法」(根太レス工法)が主流になっています。

1階の床はとくに、現在の剛床と高断熱性能にリフォームすることを基本だと思います。

どうしても予算を抑えたく上張り工法を選択するなら、必ず床下に潜って点検を行い、束や根太の状態、釘の腐食、断熱材の劣化、床下の湿気やカビ、シロアリ被害などを確認しておくことが重要です。

床リフォームのタイミングで剛床工法、木製束を鋼製束へ交換、床下の高断熱化をしておくことは、安心と、省エネ性と快適性を得られるので、価値あるリフォームとなります。

⑦床をめくるのに水道管を交換しないほどもったいないことはない!

水道管は、普段目に触れない部分にあるため、リフォームの計画段階では見落とされやすい項目です。

しかし、配管が古いまま残っていると、リフォーム後に水漏れが発生した場合、床下に入って配管を部分修正するか、床下修理ができない場合は露出した配管で敷き直したり、設備機器を外したり、新しくした床や壁を再び壊して修理することになりかねません。

配管メーカーは寿命は30年といいますが、30年経過した配管はたちまちすべてダメではないですが、築40年以上の住宅では、配管の割れや、継ぎ目からの漏れ、針で開けたような小さい穴があいた水漏れのトラブルは実際に多い

水漏れが起こっているお住まいは、古い規格グレー色で肉厚が薄いVU管です。

また、お湯の配管では、銅管や鉄管も、内部が錆びて細くなっていたり、腐食で穴が開き水漏れが起こっております。

厄介なのは、一箇所修繕すると、次に別の弱った部分へ水圧がかかり、短期間のうちに別の場所で水漏れすることも珍しくありません。

現代の新築やリフォームで使われている配管部材は、厚みのあるVP管、耐久性の高い樹脂管、劣化による接続部の隙間ができにくいVU排水管と排水インバート桝など、30年以上前の素材と比べて性能、耐久性が大きく向上しています。

大規模リフォームで床や壁を開けるタイミングは、こうした給排水配管をまとめて更新できる絶好の機会です。

工事の後に水漏れが起きると、見た目の仕上げを再び解体撤去したり、ユニットバスの床下などは、配管できないので見た目があまり美しくない外部露出配管で補修を行うケースもあります。

配管すべてを交換することは理想的ですが、費用が莫大にかかるので、リフォームで“見えている範囲の配管は確実に交換しておく”という考え方が大切です。

そのため、予算と工事内容に合わせて、どこまでを今回交換し、どこを次の工事に回すかを整理する方法も有効です。

例としては、
・浴室を解体するなら、解体で露出した配管は可能な限り交換する
・1階の床を全面的にめくる場合、規格の古い床下の配管は全交換する
・屋外の地中配管は、外回り工事のタイミングで更新する次回の計画にする。
といったように、配管の系統ごとに段階的な計画を立てることができます。

また、将来の点検や部分交換がしやすいように、キッチンの点検口が遠い場合、洗面所にも点検口を設けたり、後メンテナンスを考慮しておくことは長く住む上での安心につながります。

配管イメージ

左:古い水道管のVU管 中:現在主流の水道管HI管 右:耐熱性の高いHT管

⑧床下の湿気・通気対策:見えない湿気が家の寿命や健康に影響!

床下の湿気が高すぎるとカビが発生しやすくなり、進行すると木部の腐朽、シロアリ被害につながることは周知のとおりです。

床表面はきれいでも、床下が湿った状態のままでは、数年後に床板のたわみや下地の傷みに進行し、結果的に大きな修繕費が必要になることがあり、健康にも良くありません。

特に1990年以前の住宅で見かけるのは、
・通気口が少なく風の抜けが悪い
・通気口の位置が低く、雨天時に雨水が侵入する
・床下が土、布基礎で湿気が上がりやすい
・基礎が低く地面の湿気の影響を受けやすい
といった構造が多く見られます。

リフォーム時こそ、湿気対策の見直しが必要です

床を張り替える大規模リフォームでは、床下を見ることができるため、このタイミングで湿気・通気の改善を検討することが重要です。

湿気対策の基本は、「湿気を上げない」「こもらせない」この2つです。

理想的なのは、床下が土の布基礎の場合、防湿シートを敷き込んだ上に防湿コンクリートを打ち、地面からの湿気上昇を抑える方法ですがあります。

床下面と地面の距離が近い住宅では、床下を掘って高さを確保した上で防湿対策を行うと、木部への湿気負担が減少します。

費用を抑えたい場合は、防湿シートを敷き、上から砂利やコンクリートレンガで押さえる方法もあります。

調湿材や炭を敷き詰める対策は手軽で安価ですが、寿命があるため定期交換が必要で、長期的にはコストがかかることを知っておく必要があります。

また、床下の空気の流れが悪い場合は床下換気扇を設置して、通気や空気の攪拌を促すのも一つの方法です。

雨水侵入とシロアリ対策も同時に確認を

外部地盤より室内側が低い住宅では、通気口から雨水が入り込むことがあります。

こうした構造の場合、通気口の高さ調整や侵入防止の工夫が必要です。

また、床下に木片が残っているとシロアリの餌になるため、リフォーム時に必ず清掃し、不要な木片を撤去しておくことも大切です。

床下は普段見ることができず、湿気の影響はゆっくり進むため、リフォーム後しばらくしてから問題が表面化します。

1階床の工事を行う際は、床下の湿気・通気対策をセットで考えることが、住まいの寿命を延ばすうえで非常に重要ですので、ぜひ検討してみてください。

タイルのお風呂、タイルのトイレは湿気多!

お風呂やトイレがタイルのお住まいの床下は、お部屋のように空洞になっていません。

そして、2階の場合以外は、ほぼすべてのお住まいで防水処理がなされていない。

したがってひび割れ部分やタイル目地からじわじわ仕込みんだ水分は床下のセメントや土にたまります。そして、土やセメントは木部の土台や柱に接触している部分があるので、土台や柱が腐朽していることが多い。

室内雨漏れと同じ状態なので、お風呂リフォームして水漏れしないユニットバスにする、トイレは床下の土を取って、土台や柱に接触しないようにして通気よくすることがお住まいの長寿命化や腐朽による耐震強度が低下を避けることができます。

⑨情報の整理と合意形成:分かりやすい選択ができるように

リフォームの計画を立てる際、多くの方が最初に比較されるのが「見積金額」です。

金額はもちろん最も大切な判断材料です。しかし、価格は一つの要素としてとらえて、総合的な判断する知識が必要です。

理由は、見積書の金額の裏にある “工事の範囲” や “性能の違い” が十分に説明されていないケースがあるためです。

店舗工事や販売前の中古住宅の改装は、「見た目を整えて営業できるようにする」「水回りや壁紙、床などの老朽部分を直して売却しやすくする」といった目的の工事です。

こうした工事は、建物の根幹部分には手を入れず、最低限の仕上げ改善で納めることが求められます。

費用は抑えられますが、長く住むことを前提とした耐久性や断熱を考慮した快適性までは確保されていません。

見積書の中にはこのような、“安く見せるために根本的な改善を省いている見積” が紛れていることがあります。

表面の仕上げや間取りだけ直す工事は確かに安く済みますが、断熱・耐震・配管・床下といった性能を左右する根幹部分がそのままでは、数年後に問題が起きたり、後から知って後悔する可能性を秘めています。

情報の「見える化」が、納得できる選択をつくる

大規模リフォームは項目が多いため、工事内容を整理し、比較し、理解しやすくする資料を用意してもらうことが重要です。

見積書だけでは判断しきれないため、次のような「性能・仕様の一覧表」があると比較がしやすくなります。

  • 使用する断熱材の等級(床、壁、天井)
  • サッシ(窓)の断熱等級
  • 建物全体(リフォームする部屋)の断熱等級
  • 耐震診断書と補強計画書
  • 配管・設備の更新範囲
  • 床、壁、天井の工事の範囲

また、工事範囲についても、

  • 部分交換か全交換か
  • 一時的な応急処置か、将来を見据えた方法か
  • 今回やる範囲と次回に回す範囲

といった “工事の深さ” で比較できると、金額の差の理由が理解しやすくなります。

こうした情報が整理されていれば、住宅の知識が多くなくても、「価格」+「内容」+「性能」の3つを総合して判断しやすくなります。

結果として、業者選びやどこまで行うかが判断しやすくなり、工事後の不安や追加出費のリスクも減らせます。

大規模リフォームの成功は、情報を揃えて比較し、納得して選べる状態をつくることが大きなポイントです。

見える化された資料と丁寧な説明がある業者ほど、将来まで見据えた提案をしてくれる可能性が高く、結果として安心で経済的なリフォームにつながります。

4. 今回やる!やらない!判断の方法とは

大規模リフォームでは、すべての家に同じ工事が必要というわけではありません。

築年数や構造、土地の特性、ご家族の構成やあとどれぐらい住むかなど、条件により優先すべき事柄は異なります。

ここでは、読者の方が自分の住まいに当てはめて考えられる判断軸を整理していきます。

築年数・土地特性・暮らし方によって優先順位は変わる

住まいの状態は年数や地域環境で大きく変わります。

  • 築20〜30年台の住宅
    設備や仕上げの老朽化が目立つ時期。屋根や外壁、ベランダ防水などの外まわりのメンテナンスも必要な時期です。
    断熱性能に関しては、法規制がなかっため、8割以上のお住まいで現在の新築の基準では法令違反で低いものが使われております。省エネ住宅や快適なお住まいにしたいなら、床壁天井の断熱、サッシの改修は周りをリフォームするなら予算組をしてみましょう。
  • 築40年以上の住宅
    配管や床下の劣化が進んでいる可能性が高く、予算組したいところです。
    1981年以前の建築物は現在よりも3つも前の耐震基準で建築されています。検討は必須です。
    2つ前の耐震基準、のお住まい1981~2000年以前も最低限診断は行いたい。
  • 水が多い水路に面している、谷地、元沼地など湿気が多い土地
    床下の湿度や床下材木の含水率点検は必須。
    湿気カビやシロアリ対策、床下の金属部分の錆などの対策
  • 家族構成の変化(同居・子どもの独立など)
    上記を踏まえて、利用頻度の高い部屋に集中して予算をかける完全に近いものにするために、予算の都合に応じて、ほとんど使わない部屋は、全くリフォームしない部屋という決断も必要

あなたの重要なポイントは?

リフォーム工事をするにあたり、あなたにとって何が重要なのかを整理しておく

①家の寿命に直結する部分(古いお住まい、これから数十年住む)

・構造(耐震)
・床下湿気・シロアリ
・腐朽・雨漏れ・水漏れ
・給排水配管の寿命

②生活の快適さ・光熱費に大きく影響する部分か

・断熱材(天井・壁・床)
・窓性能

③設備

・キッチン、浴室、洗面室、トイレにかける限度額
・もう一つ欲しいトイレ、玄関の手洗いなどもう一つの設備
・1階の食品収納庫、ファミリークローゼット
・手摺、脱衣室冷暖房、扇風機
・給湯設備をエコキュートにする
・発電、蓄電設備を検討する
・コンセント、スイッチの増設移設
・ウルトラファインバブル など

④問題解決、生活導線、間取り

・キッチンの隣の和室をつなげてLDKにする
・このあたりに収納を造る
・もう一つの子供部屋、
・同居の親の部屋を造る
・寝室を1階にする など

⑤将来のメンテナンスを見越して

・必要な点検口のチェック
・配管ルートの確認して、別工事で次回でも可能か、今回必要か
・床下のメンテナンスできる高さを確保
「手を入れられる構造かどうか」は長い目で見ると大きな差になります。

やるべき工事、やらなくていい工事

切り分けをうまく行えば、無駄な出費を防げて、次回の計画に持ち越すことも可能です。

やるべき工事(優先度が高い)
  • 雨漏れ、水漏れ、柱や土台などの腐朽やシロアリ害などの劣化が進行状態にある部分
  • 湿気対策など新しくリフォームした部分の耐久性が落ちる部分
  • 床下のメンテをしやすくする点検口や、床下の高さの確保。天井裏点検口等
  • 耐震補強をしたいと思っているなら、大規模リフォーム時を逃すとおそらくもうできない
  • 壁床天井の省エネ高断熱化をしたいと思っているなら、大規模リフォームで改修する部屋は必須
  • 今回外壁塗装で足場を掛けるなら、屋根瓦、瓦のしっくい(白セメント)樋が間もなく寿命を迎えるなら必須
  • タイルのお風呂は、室内の雨漏れがある状態が続いているといっても過言ではない。優先してタイルのお風呂はユニットバスに替えたいところ
後回しにできる工事(優先度が低い)
  • 家具の配置などで代用できる間取り変更
  • ほとんど使用しない部屋の床、壁、天井の構造改修、床や壁紙のリフォーム
  • 次の外壁塗装のメンテナンス時期まで問題なさそうな瓦、屋根しっくい、樋の取り換え
  • 予算が厳しい場合、中途半端に便器だけ替えるなら、トイレの床に水を流すのもやめて、トイレ丸ごとリフォームを次回にまわすのも一つの方法
  • あまり使わない部屋の断熱リフォーム、利用頻度が低いので時々使うときのみエアコン等で対処。その場合、断熱する部屋としない部屋の境目の壁は室内であっても断熱材を入れると使用頻度の高い部屋の省エネは効果的です。

あなたの住まいに合った“正しい選択”を

大規模リフォームは、家の状況も家族の状況も予算もそれぞれ違うため、誰にでも当てはまる「正解」はありません。
住まいの劣化状況、土地の状況、暮らし方を整理し、どこから取り組むべきかを順番に考えていけば、過不足のない、納得のいく工事計画が見えてきます。

そして、判断に迷ったときは、調査結果・仕様・性能の情報を“見える化”して整理していくことで、自信をもって選択できるようになります。

リフォーム工事中

5. 今日からできる確認と相談 ― 無理なく始められる行動ステップ

ここまでの内容で、「自分の家のどこが弱点なのか」「どこを優先すべきか」を整理できた方も多いと思います。

とはいえ、では最初に何をすればいいのか?ここで迷われる方も少なくありません。

大切なのは、プロに点検しもらい、素人でも判断しやすい等級や耐久性の提示をもらい、必要な情報を揃えることと、自分の優先順位を整理することです。

①事前調査で確認すべきポイント

まずは業者に調査を依頼する前に、“何を見てもらう必要があるのか”を整理しておきます。

これは前述した「寿命」「快適性」「メンテ性」に直結する部分です。

専門業者に点検してもらいたい項目
  • 腐朽・白蟻・湿気:土台・柱・床組の劣化、シロアリ痕跡の有無、カビ、通気経路
  • 配管:使用年数(建築年数)材質(薄肉管・鉄管・銅管の残存)・漏水跡、露出配管の有無と劣化状況
  • 点検口:床下、天井裏の点検口の有無、無い場合の仮侵入口の箇所の決定
  • 耐震:耐震診断実施
  • 断熱:断熱材の有無、既存の厚み・欠損(床、壁、天井)
  • 窓:ガラス・サッシ性能、劣化、結露跡
  • 天井裏:雨漏れ根、瓦下の野地板の劣化度
  • 屋根瓦:瓦のずれや割れ、しっくい(白セメント)劣化度、塗膜の劣化度、雨どい劣化度
  • 外壁:ひび割れ、膨れ、塗膜の劣化度
  • 建物の傾き:床、壁の傾き

調査範囲を明確にしておくと、調べ忘れがなくなり、後から工事内容がブレなくなります。

ご自身でも確認できる項目
  • 機器、作動部の劣化度:水回り機器の点検
  • 室内のシミ:床、壁、天井のシミと原因の予測
  • 室内仕上げ材:劣化度、めくれ、ささくれ
  • 床:歩くときしみ音や柔らかい箇所、傾き
  • ドア、窓、雨戸:動き、鍵のかかり具合

②打合せで必ず聞くべき質問

調査結果を元に業者と打合せをする際、次の質問を用意しておくと、さらに工事内容を理解しやすくなります。

  • 断熱の目標等級、施工時の気密、気流止めはどう確保する?
  • 使用する断熱材の性能(熱伝導率)は?
  • 窓の仕様(ガラス構成、サッシ種別)は何種類から選べますか?
  • 耐震等級は?
  • 床下、天井裏の点検口ですべての点検、メンテンナンスは可能か?
  • 床・壁・天井のリフォーム方法は?上張り?下地から張替え?
  • 配管の交換範囲(水・湯・排水・追い炊き)はどこまで含まれるか?
  • 今回工事を行わない部分は、いつ頃メンテナンスが必要か?概算費用は?

調査、点検の写真記録にて補修箇所など工事箇所の確認を行いましょう。

質問の質が上がると、業者の説明の透明性も高まり、「どこまで考えてくれているか」が見えてきます。

③見積書の確認ポイント ― 金額差の理由を読み解く

見積書は金額だけを見るのではなく、何をどこまでやっているかを読み解くことが重要です。

安く見える見積の判断ポイント
  • 腐朽・雨漏れの補修が別途扱いになっている⇒想定額が予算組されているか?
  • 耐震補強が耐震設計に基づいていない
  • 断熱材グレードが曖昧
  • 外壁・屋根の下地補修が含まれていない、またはコーキングすり込みなど簡易作業のみ
  • 配管更新が不明確
  • 断熱において気密・気流止めの工事が省略されている
仕上がりは同じでも費用が上がる見積
  • 下地・構造まで踏み込んで補修(床、壁、天井)
  • 耐震補強が計算に基づき、耐震等級、バランス改善が明確
  • 断熱材・窓の性能が明確、等級も明確
  • 床組・配管の改修範囲が明確
  • 将来のメンテナンス性まで確保(点検口・配管ルート)
  • リフォームしない部分の次回の点検メンテナンス時期が明確

金額だけでは判断できない「価値の差」が、見積書には必ず含まれています。

④次の一歩 ― 今日からできる準備

ここまで確認いただいた内容を踏まえ、まずは次の行動から始めてみてください。

今日からできる行動リスト
  • 現地調査の予約をする
    → 無料診断や事前点検を依頼して現状を明確にします。
  • リフォーム希望部分の優先順位と予算の明確化
  • 図面・過去の工事履歴・写真を探しておく
    → 調査の精度が上がり、見積のブレが減ります。
  • 気になる症状をメモしてまとめる
    → 床鳴り、シミ、結露、段差、開閉の重さなど。
  • 気になる箇所をスマホで写真に撮っておく
    → 業者に共有しやすく、判断材料になります。
  • 不明点質問リストを作る

動き出すために必要なのは「専門知識」ではなく「小さな準備」です

大規模リフォームは、最初の一歩を踏み出すまでが一番迷いやすいものです。

ですが、家の状況を整理し、必要な確認ポイントを押さえ、専門家に相談する準備ができれば、その後の計画はスムーズに進みます。

そして、4章で整理した「あなたの家に必要な改善」 を基準に判断すれば、迷わずに工事を選択できるようになります。

6. 見た目だけのリフォームにしないために

大規模リフォームは、単に古くなった部分を新しくするだけではなく、これから先の暮らしを守るための大切な機会です。

本記事では、見落とされがちな構造・配管・断熱・湿気・耐震といった“住まいの根幹部分”を、最初の段階で見直すことの重要性をお伝えしてきました。

多くのお住まいは、築年数の経過とともに目に見えない部分が少しずつ弱っていくものです。
しかし、床や壁を開ける大規模リフォームのタイミングであれば、こうした根本的な改善を効率よく、無駄なく行うことができます。

また、断熱・窓性能・耐震といった性能向上は、暮らしの快適性や光熱費にも直結します。
設備だけを新しくするのではなく、家そのものの力を底上げすることが、将来の安心と経済性につながります。

そして、計画を成功させる鍵は“情報を整理し、納得して選ぶこと”にあります。

・家の現状を正確に知る
・必要な工事の優先順位をつける
・業者の提案内容を比較し、理解する
・将来のメンテナンスまで見据える

これらを積み重ねることで、「やって良かった!」と胸を張れるリフォームになります。

お住まいは、家族と同じように歳を重ねていきます。

その変化を受け入れながら、必要な手入れをしていくことで、また次の世代まで安心して住み継げる住まいになります。

どうか今回の記事が、あなたのリフォーム計画の迷いを少しでも軽くし、より良い選択の一助となれば幸いです。

こちらのブログ記事も参考にしてみてください。

子育て後に始めたいリノベーション ~40代から考える住まいの見直しポイント~

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